コンテンツマーケティングを導入するうえで理解しておきたい購買行動モデルに、「DECAX(デキャックス)」があります。この記事では、DECAXの説明と、DECAXに必要なメディア、そしてコンテンツの重要性を解説していきます。
デジタルドロップ広報担当パンちゃんです!
今回は購買行動モデル「DECAX」について説明するよ。
この記事は約4分30秒で読めるよ♪
目次
DECAXとは?
「DECAX(デキャックス)」とは購買行動モデルの1つで、2015年に電通から発表されました。その特徴に「コンテンツマーケティングに対応している」点が挙げられます。
購買行動モデルとは、消費者が訴求対象となる商品・サービスを認知してから設定したKPIに到達するまでの過程を簡潔に表現したモデルを言います。古くは約100年前、1920年代の「AIDA(アイダ)」から存在します。
コンテンツマーケティングとは
DECAXを説明する前に、まず「コンテンツマーケティング」について理解しましょう。
コンテンツマーケティングとは、オーディエンス(消費者、ユーザ)にとって興味関心・価値のある「コンテンツ」を制作・公開してオーディエンスと絶えずコミュニケーションをとり、設定したKPIを実現するマーケティング手法をいいます。
コンテンツとは、「中身」を指します。例えばテレビで言えばテレビジョン(受像機)ではなく放送されるテレビ番組のこと、インターネットであればパソコンやスマートフォンではなくWebページにある記事の内容を指します。コンテンツの形式はテキスト、イラスト、写真、音声、動画いずれでも構いません。アプリやゲームもコンテンツです。
また、この記事では取り上げませんが、現実世界(オフライン)のイベント、ポスターやチラシに書かれている事柄、CDやDVDといった物理メディアに記録されている映像もコンテンツです。
コンテンツマーケティングの目的やメリット
現代は「情報過多時代」と言われています。情報はインターネット上に日夜を通して絶えず追加されます。時間は有限ですから、オーディエンスがすべてを閲覧することは不可能です。
現代のオーディエンスは、検索、ブログやSNS、レビューや広告などを通して、常に自分にとって有益な情報を探しています。しかし、それはあまりに大量かついろいろな場所に埋もれているので、いつしかオーディエンスは自分が必要とする情報以外をシャットアウトするようになってしまいました。それにより、企業側がいくら努力しても、オーディエンスの注目から漏れた情報は永久に届かない事態が起きています。
コンテンツマーケティングで使用するコンテンツは、検索結果などを通してより多くのオーディエンスの目に止まることを期待して制作・公開されます。
つまり、コンテンツはオーディエンスの興味関心を受け止め「商品・サービスの認知度を向上させる」ことによってKPIを達成する手段であると同時に、「企業をブランディングする」ためのツールなのです。
コンテンツマーケティングは非常に強力なマーケティング手法であると同時に、商品やサービスに合わせて利用するコンテンツを変えられる柔軟性も持ち合わせています。顧客をファンにするという目的を達成し、多くのメリットを享受する手段としてぜひ活用してみてください。
コンテンツマーケティングの目的やメリットについては、この記事も是非読んでみてね♪
DECAXの5段階とは
さて、コンテンツマーケティングの説明を踏まえ、DECAXの説明に戻りましょう。DECAXは、「Discover(発見)」「Engage(関係づくり)」「Check(確認や注意)」「Action(行動)」「eXperience(体験とその共有)」の5段階それぞれの文字をとった購買行動モデルです。 オーディエンスの立場から説明すると、以下のようになります。
・Discover(発見):有益なコンテンツを自ら発見する
・Engage(関係づくり):コンテンツの発信者との関係を作り、深める
・Check(確認や注意):情報の出所や真偽を確かめる
・Action(行動):設定されたKPIに到達する
・eXperience(体験とその共有):自ら体験し、その結果をブログやSNSでシェアする
各段階の解説
各要素を細かく見ていきましょう。
「Discover(発見)」は、他の購買行動モデル「AIDMA」「AISAS」の1段階目に出てくる「Attention(気づき)」よりも能動的・自発的な意味合いが強い表現です。配信されている広告をオーディエンスがどこかで「目にする」のではなく、自ら検索することによって必要な情報を見つけることをイメージしています。これは同時に、SNSのタイムライン表示やEコマースのリコメンデーション(おすすめ)機能など、「発見したように見せる」ことも含みます。
コンテンツマーケティングを実施しているのであれば、公開している記事のうちの1つが検索結果にヒットした状態、といえますね。検索結果のより上位にコンテンツを表示させるためのSEO対策も重要です。
「Engage(関係づくり)」は、「Discover(発見)」とほぼ同時に始まります。検索結果にヒットした記事を読み満足して「他の記事を読みたい」とオーディエンスに思わせること、間接的に商品・サービスを「より広く知りたい」「より深く知りたい」と思わせることで、オーディエンスとの関係づくりは深まっていきます。コンテンツマーケティングを実施する上で望ましい情報の網羅性や詳報性は、この段階で必要になります。
また、最近よく聞くマーケティング用語「リード・ナーチャリング」は、この辺りのプロセスを指します。リード(見込み顧客)にメールマガジンを送付する、チュートリアル動画を配信するなどして良好なコミュニケーションを築き商品・サービスをしっかり覚えてもらう、もっと知ってもらう段階です。
「Check(確認や注意)」は、「Engage(関係づくり)」により気分が盛り上がっていたオーディエンスが、一度客観的になって「書いてあることは本当に事実なのか」「この企業を信じて大丈夫かしら」と疑いを持ち再度調べる段階です。コンテンツそのものに関してであれば「内容は正しい根拠に基づいているのか」「誰が、どんな企業が書いて公開しているのか」、書かれている商品・サービスに関してであれば「特徴や仕様は要求事項を満たしているか」「一般人の口コミのふりをしたステルスマーケティング(ステマ)ではないのか」といったところでしょう。
情報を配信している企業に信頼がおけ、情報が正しい根拠を備え、商品・サービスがオーディエンスの要求を満たすものであり、そしてそれに関する情報が公正中立であれば、ここはオーディエンスが次の段階に進もうとするための最終地点です。
「Action(行動)」の段階は、商品であれば購入、サービスであれば正式利用開始が該当します。売上が発生するこれらの事柄をKPIにすることが多いと思いますが、訴求する対象が高額な商品や大規模なサービスであれば、もっと手前のステップ、「会員登録」や「体験版・試供品の入手申込」などに設定することもできます。
このタイミングでより魅力的なプランやキャンペーンを提案し、KPI到達を促すことも効果的でしょう。
「eXperience(体験とその共有)」の段階では、オーディエンスは商品・サービスを実際に使ってみて・体験して、使い勝手や入手・体験後の印象の変化、メリット・デメリットなどをあらためて把握します。そして、その結果をブログやSNS、Eコマースでのレビューなどで自ら発信します。発信の内容はポジティブなものばかりではなく、ネガティブなものもあります。
そして、それらはDECAXの最終段階であるだけでなく、コンテンツマーケティングで作成するコンテンツと同様、他のオーディエンスが商品・サービスを知る、「Discover(発見)」するための新たなコンテンツとなります。 DECAXはぐるぐると回りながら自動的にコンテンツを増やしていくサイクルを持った購買行動モデル、と言えるでしょう。
DECAXに必要なメディア
DECAXに必要なメディアは、3つのタイプ(オウンド、アーンド、ペイド)別に以下が挙げられます。この記事では、オンラインコンテンツに絞って紹介します。
オウンドメディア(自社運用)
- 企業Webサイト
- 企業ブログ
- ニュースリリース
- メールマガジン
アーンドメディア(口コミ収集・拡散)
- SNS
- 比較・レビューサイト
ペイドメディア(費用が発生)
- 各種インターネット広告
このうち、DECAXでは特にオウンドメディアの扱いが重要です。コンテンツマーケティングにおいて、コンテンツは一過性の使い捨てではなくずっと蓄積され、再利用されるものです。その管理に最も適しているのは、自社ですべてをコントロールできるオウンドメディアでしょう。
また、さまざまなコンテンツを幅広く準備し網羅性を高めていく、コンテンツを深堀りして詳報性を高めていくのは、コンテンツマーケティングを効率的に実施するうえで重要です。コンテンツへのアクセス状況や検索キーワードを解析することにより、「どんなコンテンツが好まれているのか」「どんなコンテンツを増やせばよいか」など、コンテンツをより充実させるための方向性を決定する助けにすることができます。
アーンドメディアは、そのまま情報を発信してもよいですが、オウンドメディアへの流入経路として大きな役割を担っています。訴求する商品・サービスによっては、SNSや比較・レビューサイトの方が一般的な検索よりも高い流入数を示すこともあります。その拡散力が非常に有効に機能すると、一気に商品・サービスの認知度を向上させ、いわゆる「バズる」、話題性にもビジネス的にも大きな盛り上がりを作ることができます。 しかし、ポジティブ面だけでなくネガティブ面も一気に拡散してしまうこと、オーディエンスの誤解や勘違いも正しい情報と同じように流通してしまうこと、それらへの対応を誤ると「炎上」「粘着」「レビュー荒らし」といった困った事態を招くリスクがあることが注意点です。
「コンテンツは王様」
1996年に「コンテンツは王様である(”Content is King”)」というタイトルのエッセイでコンテンツの重要性を説いたのは、Microsoftのビル・ゲイツでした。その当時はWindows95の発表と、旧来のオフィスコンピュータ(オフコン)に比して安価なパーソナルコンピュータが多数発売されたおかげでインターネットが一般の人々に爆発的に普及し始めた時期です。多くのベンチャー企業が、インターネット上で展開される新しいサービスと新しいコンテンツ作りに続々と名乗りを上げました。
このエッセイの中で、ビル・ゲイツは広告ビジネスについて、「長期的視野で見ると有望な分野だ」と言及しています。インターネット広告の雄であるGoogleはまだ創業していません(創業は1998年)し、Googleが検索連動型広告「Google AdWords」を手がけるのはもう少し先のことです。
ビル・ゲイツの先見性に驚かされると同時に、コンテンツの重要性は昔からずっと変わらず、しかもますます増している、とみることができるでしょう。
まとめ
「モノが売れない時代」と言われる近年、マーケティング活動の重要なキーワードとして「エンゲージメント(Engagement)」が注目されています。エンゲージメントではオーディエンスに対して一方的に情報を投げつけ気づいてもらうのを待つのではなく、オーディエンスが欲しい情報を適切なタイミングで発信し、同時にオーディエンスが探していそうな情報をあらかじめ準備しておきます。それにより、オーディエンスに対して商品・サービス、企業やビジネスに対して良好かつ親密なイメージを持たせ、設定したKPIに導きます。そして、それを幾度となくリピートさせ、ロイヤリティの高い顧客になるようアクションし続けるのです。
コンテンツマーケティングを促進する「DECAX」の2番目に、まさに「Engage」が含まれています。マーケティング活動・ブランディング活動を検討する際に、ぜひ思い出してみてください。
困ったときは、デジタルドロップにぜひ相談してみてね♪
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