MECEの分かりやすい例を調べているあなたは、情報の整理方法や論理的な思考力を高めたいと感じているのではないでしょうか。
MECE(ミーシー)は「漏れなく、ダブりなく」物事を分けて考える方法で、ビジネスはもちろん、日常生活にも役立つ重要な考え方です。
この記事では、MECEの基本から具体的な使い方まで、初めての方でも理解しやすいように、分かりやすい事例を紹介しながら解説していきます。
- MECEの意味と基本的な考え方がわかる
- MECEを使った具体的な分類の例が理解できる
- ビジネスや日常生活での活用方法がわかる
- 情報をもれなく、ダブりなく整理するコツが学べる
MECEの分かりやすい例|基本と実践法

MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「漏れなくダブりなく」という状態を指す概念です。Mutually Exclusiveは「お互いに重複しない」、Collectively Exhaustiveは「全体として漏れがない」という意味を持ちます。
この考え方は、国際的なコンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーに所属していたバーバラ・ミント氏によって考案されました。この考え方は、同社の社内用語として定着した後、世界中のビジネスシーンで広く使用されるようになりました。
MECEの目的
MECEの目的は、複雑な問題や情報を構造的に分解し、抜け漏れや重複を防ぐことで効率的かつ正確な分析を可能にすることです。これにより、問題の本質を明確化し、最適な解決策を導き出すことができます。
ビジネスシーンでは、戦略立案や市場調査、業務改善など幅広い場面で活用されており、論理的思考(ロジカルシンキング)の基本として重要視されています。
なぜ、このような整理の仕方が大切なのでしょうか?それは、課題を正しく理解し、解決するための土台になるからです。情報が重なっていたり、抜けていたりすると、判断ミスやムダな作業が生まれてしまいます。
たとえば、チームで役割分担をするとき、MECEでないと「同じ作業を2人がやっていた」「誰もやっていない作業があった」ということが起きかねません。逆に、MECEを意識していれば、作業のモレやムダを防ぎ、スムーズに進めることができます。
つまり、MECEの目的は「正確な情報整理」と「効率の良い問題解決」を実現することにあります。この目的を意識することで、仕事の進め方や考え方がぐっと洗練されていきます。
MECEの使い方
MECEの考え方を実際に使うと、どのように役立つのでしょうか?ここでは、いくつかの具体例を紹介して、イメージをつかんでもらえたらと思います。
例1:年齢での分類
人を年齢で分けるとき、「0~19歳」「20~39歳」「40~59歳」「60歳以上」のようにすれば、誰もがどこかのグループに入りますし、重なりもありません。これがMECEな分類です。
例2:商品の売り方を考える場合
たとえば「ネット販売」「店舗販売」「電話注文」というように販売チャネルを分けると、それぞれに合った戦略を立てやすくなります。このように、方法別にダブりなく分けるのもMECEの使い方です。
例3:業務を整理するケース
仕事の内容を「営業」「企画」「事務」「サポート」と分類すれば、役割分担がはっきりし、どこに手が足りないかもわかりやすくなります。
このようにMECEの具体例を見ることで、「整理するってこういうことか」と実感しやすくなります。日常でもビジネスでも応用できるので、ぜひ意識してみてください。
ビジネスでのMECEの使い方
MECEはビジネスの場面で特に役立つ思考法です。複雑な情報や問題を整理して、正確に分析したり、チームで共有したりする際に活用されています。具体的に見ていきましょう。
会議において
たとえば、会議で意見をまとめるとき。「コストの課題」「人手不足」「商品ラインナップの見直し」など、問題の種類ごとに分ければ、話し合いがスムーズになります。
マーケティングにおいて
マーケティングでもMECEは欠かせません。お客様を「年齢層」「購買目的」「購入頻度」などで分けることで、誰にどんな商品をどう届ければよいかが見えてきます。
売上の分析において
売上の分析でも使われています。たとえば「商品別」「地域別」「時間帯別」に売上を分けると、どこに伸びしろがあるかが明確になります。
プロジェクトの管理において
プロジェクトの管理でも活用できます。やるべき作業を「準備」「実行」「確認」のように段階的に整理すると、チーム全体で抜けや漏れなく進めることができます。
つまり、MECEは「情報を整える力」。これをうまく使えば、判断ミスを減らせるだけでなく、社内での説明も分かりやすくなります。
ビジネスを効率よく、そして分かりやすく進めたいときに、MECEはとても心強い武器になります。
MECEの分かりやすい例|応用事例
スポーツにおけるMECEの事例
MECEは、スポーツの世界でもしっかり活かせます。情報を整理して、チームの戦略や選手の分析をするときに、「漏れなく・ダブりなく」考えることがとても重要です。ここでは、スポーツの具体的な場面で、MECEがどう使えるのかを紹介します。
例えば、サッカーのポジションを整理する場合を考えてみましょう。「ゴールキーパー」「ディフェンダー」「ミッドフィールダー」「フォワード」と分けると、どの選手もどれかに必ず当てはまり、重複しません。これはMECEの考え方に合っています。
さらに、選手のタイプで分類する方法もあります。たとえば「スピード型」「パワー型」「テクニック型」といったように、特徴をもとにグループを分ければ、トレーニングや作戦づくりに役立ちます。もちろん、基準はひとつにして、重ならないように工夫するのがポイントです。
MECEを使えば、チーム内での役割がはっきりし、戦術の見直しや選手育成もスムーズになります。スポーツの現場でも、MECE的に考える力は大きな武器になりますよ。
MECE ロジカルシンキング 例題

MECEは、ロジカルシンキング(論理的思考)を使う場面で非常に役立ちます。ここでは、MECEを活用した具体的な例題を見ていきましょう。
【例題】「社員の働き方改革に向けた改善案を出してください」
このお題に対して、MECEの考え方を使うと、以下のように分類して整理できます。
1. 働く場所の改善
- オフィス出勤
- リモートワーク
- ハイブリッド(両方組み合わせ)
2. 働く時間の改善
- フレックスタイム制度
- 時短勤務制度
- 完全週休3日制の導入
3. 働き方を支える制度
- 業務効率化ツールの導入
- 社内相談窓口の設置
- 研修やリスキリングの強化
このように、働き方の「場所」「時間」「制度」と大きく3つの視点で切り分けることで、漏れなく・ダブりなくアイデアを出すことができます。MECEの基本である「全体をもれなくカバーし、項目同士が重ならない状態」をしっかり満たしています。
MECEを効果的に活用するためのコツ
MECEをうまく使うには、いくつかの「コツ」を押さえることが大切です。ただやみくもに分けるのではなく、考え方にルールを持つと、きれいに情報が整理できます。
まず、「分ける目的をはっきりさせる」ことが大事です。たとえば、「商品のターゲットを知りたい」のか、「社内の働き方を見直したい」のかによって、必要な切り口は変わります。ゴールを先に決めておけば、分類もブレません。
次に、「ひとつの基準で分けること」です。たとえば「年齢」「性別」「地域」など、いろいろな切り口がありますが、1つに絞って分類することでダブりがなくなります。
また、「まずは大きく分けて、徐々に細かくする」ことも効果的です。最初から細かく分類しようとすると、漏れやダブりが出やすくなります。まずはざっくりと、次に細かくという流れを意識すると失敗しにくいです。
さらに、「作った分類を見直す」ことも忘れないでください。一度分けたあとに、「このグループ、重なってない?」「漏れてる人はいない?」とチェックすることで、より正確なMECEになります。
最後に、練習あるのみです。日常の買い物メモやToDoリストなど、小さなことでもMECEを意識してみましょう。少しずつ慣れていくことで、自然と整理力がアップしていきます。
MECEは、センスより習慣。コツコツと身につけていくことが、効果的な活用への近道です。
MECEの分かりやすい例|フレームワーク
MECEを使うと、さまざまなフレームワークがより使いやすくなります。フレームワークとは、情報を整理するための「考える枠」のことです。MECE(モレなく、ダブりなく)の考え方をあてはめることで、整理の抜けや重複を防ぎ、より正確な分析ができるようになります。
たとえば、SWOT分析、3C分析、4P分析、ロジックツリーなどがあります。どれもビジネスでよく使われる分析方法ですが、MECEを意識して使うことで、ムダのない戦略立案ができるようになります。
そうしたフレームワークにおいて、どのようにMECEが活用されているか見てみましょう。
SWOT分析
SWOT分析は、企業の強みや弱みを整理するための有名な方法です。具体的には、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの視点で情報を整理します。
MECEの考え方が活きるのは、各項目の内容を重ならず、漏れなく分けるときです。
たとえば「強み」と「機会」を混同してしまうと、社内の特徴と外部のチャンスがごちゃまぜになってしまいます。MECEを意識すれば、「これは社内要因」「これは外部要因」と明確に区別できるようになります。
また、情報を並べるときも、同じような内容を何度も書かないように注意することが大切です。
似ているけれど少し違う要素は、しっかり分けて書くようにすると、分析の精度が上がります。
MECEを使ってSWOT分析を行えば、戦略の土台としてしっかりした内容に仕上がります。
経営判断や企画立案に自信を持ちたいときには、ぜひMECEを意識して取り組んでみてください。
3C分析
3C分析とMECEは、情報を整理するための考え方として相性がよいです。
3C分析とは、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から、ビジネスの状況を分析する方法です。それぞれの視点にしっかり分けて考えることで、全体像をつかみやすくなります。
では、なぜMECEと関係があるのかというと、MECEを意識することで3C分析の精度が上がるからです。
たとえば「顧客」という視点で考えるとき、性別・年齢・購買傾向などを重ならないように分けると、どんな人にどんな商品が刺さるのかが明確になります。これが「漏れなく・ダブりなく」のMECEの考え方です。
つまり、3C分析をより実用的に使うには、MECEの考え方を取り入れることがとても重要です。
視点ごとに重ならない情報で整理できれば、戦略を立てるときのブレが少なくなり、より説得力のある提案ができるようになります。
4P分析

4P分析とは、商品やサービスを売るときに必要な4つの要素を整理する考え方です。
4つの「P」はそれぞれ、「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(販売場所)」「Promotion(宣伝)」を意味します。
たとえば、新しいお菓子を売る場合を考えてみましょう。
「Product」では、お菓子の味や形、パッケージのデザインなどを考えます。
「Price」では、いくらで売るかを決めます。
「Place」では、コンビニで売るのかネットで売るのかといった販売場所を選びます。
「Promotion」では、どんなふうに広告するか、誰に届けるかを考えます。
このように4P分析を使うと、商品を売るために必要なことを「漏れなく、ダブりなく」整理できます。
そのため、MECEの考え方と相性がよく、マーケティングの計画や見直しにとても便利です。
結論として、4P分析は「何を、どこで、いくらで、どうやって売るか」をはっきりさせる道具です。
商品やサービスを売る仕事をしている人にとって、基本中の基本といえるフレームワークです。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、問題を枝分かれさせながら整理する図のことです。
木の枝のように「大きなテーマ」から「小さな要素」に分けていくため、考えがスッキリまとまります。
たとえば、「売上が下がっている理由は?」というテーマを考えてみましょう。
まず、「お客さんが減った」「価格が高すぎる」「商品の魅力が下がった」といった要素に分けられます。
さらに「お客さんが減った」の理由を、「宣伝不足」「競合が増えた」などに細かく分けることができます。
こうしてロジックツリーを作ると、「どこに問題があるのか」「何から手をつけるべきか」が見えてきます。
すべての枝(要素)をMECEの考え方で「漏れなく・ダブりなく」整理することで、見落としのない分析ができます。
つまりロジックツリーは、問題をきちんと分けて考えたいときにとても便利なツールです。
ひとりで考えるときも、チームで話し合うときも、使い勝手がよく、整理力がアップします。
バリューチェーンとプロダクトポートフォリオマネジメント
この2つは、ビジネスの流れや商品戦略を考えるときに使われる代表的な考え方です。
まず、バリューチェーンとは、会社の仕事を「価値を生む流れ」として見る方法です。
たとえば「仕入れ」「製造」「販売」「サービス」のように、順番に流れを分けて考えます。これによって、どこでムダが起きているか、どこを強化すべきかが見えやすくなります。
一方、プロダクトポートフォリオマネジメントは、扱っている商品をグループ分けして分析する方法です。
たとえば「売れている商品」「これから伸ばしたい商品」「そろそろ終了する商品」などに分類します。これを行うことで、どの商品に力を入れるべきかがわかります。
そして、この2つをMECEで整理すると、さらに効果的になります。
バリューチェーンなら、「活動の流れに重なりがないか」「大事なステップが抜けていないか」をチェックすることで、より正確に分析できます。
プロダクトポートフォリオでは、「すべての商品がどこかの分類にしっかり入っているか」を確認することで、見落としを防げます。
まとめると、どちらのフレームワークもMECEの考え方を加えることで、抜けやムダを減らし、より良い意思決定につなげることができます。
こうしたマーケティングに関するコンサルティングをご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
MECEの分かりやすい例まとめ
- MECEとは「漏れなく・ダブりなく」情報を整理する考え方
- 「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語
- 論理的思考(ロジカルシンキング)の基本とされる
- MECEを使うとチームの役割分担もスムーズにできる
- 情報の整理や課題の分析に最適なフレームワーク
- MECEを使うには「目的をはっきりさせる」ことが重要
- 「1つの基準で分類する」ことで重複を避けられる
- 「大きく分けてから細かくする」と漏れやすさを防げる
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