初めてのナレーション外注で失敗しないための料金と選び方

ナレーション 外注

「動画コンテンツのクオリティを、もう一段階引き上げたい」 「製品やサービスの魅力を、よりプロフェッショナルに伝えたい」

企業のマーケティング活動において、動画や音声コンテンツの重要性が増す中、その最終的な品質を大きく左右するのが「ナレーション」です。しかし、多忙なマーケティング責任者の方ほど、こんな悩みをお持ちではないでしょうか?

  • ナレーションを外注したいが、どこに頼めばいいのか分からない。
  • 品質やコミュニケーションコストを考えると、なかなか踏み出せない。
  • そもそも、費用感が全く見えず、予算策定のしようがない。

もし一つでも当てはまるなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。

この記事では、日々多くのタスクを抱えるマーケターの方が、ナレーション外注で失敗せず、ブランド価値を最大化するための具体的な方法を、網羅的かつ実践的に解説します。

  • ナレーション 外注の費用相場および料金体系について
  • ナレーション 外注における依頼先の種類と特徴について
  • ナレーション 外注の依頼から納品までの手順と注意点について
  • ナレーション 外注に関する成功事例と失敗事例について

目次

ナレーション外注の費用相場と料金体系のすべて

ナレーション外注 費用相場

ナレーション外注を検討する上で、最初に把握すべきは「費用」です。依頼先によって料金体系は大きく異なるため、まずはその全体像を掴みましょう。

依頼先でどう変わる?料金体系の全体像

依頼先は大きく分けて「制作会社・ナレーター事務所」「クラウドソーシング(個人)」「AI音声合成」の3つです。それぞれの特徴と費用感は、以下の表を参考にしてください。

依頼先特徴費用相場(日本語・5分/約1500字程度)こんなプロジェクトにおすすめ
制作会社・ナレーター事務所高品質な機材とスタジオ、プロのディレクションによるクオリティ管理。権利関係もクリアで安心感が高い。100,000円~500,000円企業のブランド広告、重要な製品紹介動画、テレビCMなど、品質を最優先する場合
クラウドソーシング(個人)多様なスキルを持つフリーランスに直接依頼。スピーディーかつ比較的安価だが、品質や進行管理は自己責任。10,000円~50,000円社内研修動画、Webサイトの簡単な説明動画、SNS広告など、コストと速度を重視する場合
AI音声合成テキスト入力で即時音声化。圧倒的な低コストとスピード、修正の容易さが魅力。感情表現にはまだ課題も。月額数千円~数万円(作り放題)または 1文字0.5円~2円程度の従量課金製品マニュアル、eラーニング教材、ニュース読み上げなど、大量・多頻度の修正や多言語展開が必要な場合

※注意: 上記はあくまで目安です。ナレーターの知名度や実績、プロジェクトの要件によって価格は大きく変動します。

価格を左右する4つの重要ファクター

なぜこれほど価格に幅があるのでしょうか。それは、以下の4つの要素が複雑に絡み合って最終的な料金が決まるからです。

1. 文字数・尺(原稿のボリューム) 

最も基本的な料金算出の基準です。「1文字〇円」「〇分まで〇円」といった形で設定されていることがほとんどです。一般的に、ボリュームが大きくなるほど文字単価や分単価は割安になる傾向があります。

2. ナレーターのランク(実績・知名度) 

ナレーターの経験やスキル、知名度によって報酬は大きく変わります。

  • 若手・新人クラス: 比較的リーズナブル。
  • 中堅クラス: 安定した品質と実績を持つ。最も需要の多い層。
  • 著名・ベテランクラス: テレビ番組や有名CMで活躍するナレーター。費用は高額になりますが、その声だけでコンテンツに絶大な信頼性と権威性をもたらします。

3. 用途(Web動画、CM、研修資料など) 

作成したナレーションを「何に」「どれくらいの期間」使うかによって、料金が変わる場合があります。これを「二次利用料」や「媒体使用料」と呼びます。

  • Webサイト限定公開
  • SNS広告での利用
  • テレビCMや交通広告での放映
  • 展示会での使用

特にテレビCMなど、広範囲に長期間展開する場合は、使用料が高額になるのが一般的です。契約時に使用範囲を明確に伝えておかないと、後から追加料金を請求されるトラブルに繋がるため、注意が必要です。

4. オプション料金 

ナレーション本体の料金以外に、以下のような費用が発生することがあります。

  • ディレクション費: 収録現場で読み方の指示やクオリティ管理を行うディレクターへの報酬。品質を担保する上で非常に重要な役割を担います。
  • スタジオ費: プロ仕様の録音スタジオを使用する場合の費用。時間単位で課金されます。
  • リテイク(修正)費: 納品後の修正依頼にかかる費用。読み間違いなど、依頼先側のミスであれば無償対応が基本ですが、発注者側の都合(原稿変更など)による修正は、追加料金が発生します。
  • BGM・効果音: ナレーションに合わせてBGMや効果音を追加する場合の費用です。

見積もり依頼時に確認すべき必須項目

複数の依頼先から見積もりを取る際は、ただ金額を比較するだけでは不十分です。以下の項目が明確に記載されているかを確認し、不明な点は必ず質問しましょう。

  • 料金に含まれるサービス範囲はどこまでか?(ディレクション、スタジオ、編集は込みか?)
  • 修正(リテイク)の規定はどうなっているか?(無償対応の回数や範囲は?)
  • 権利の帰属と二次利用の範囲は?(追加料金なしでどこまで使えるか?)
  • 納品形式と納期は?
  • ディレクターやエンジニアは誰が担当するか?

これらの点を事前にクリアにすることで、「思ったより高くついた」「やりたいことができなかった」といった事態を防ぐことができます。

ナレーション依頼先3つの選択肢とメリット・デメリット

費用感を把握したところで、次に「どこに依頼するか」を具体的に検討しましょう。それぞれの選択肢のメリット・デメリットを、多忙なマーケターの視点で解説します。

①制作会社・ナレーター事務所:品質と信頼性を最優先するなら

映像制作会社や、ナレーターが多数所属する事務所に依頼する方法です。プロジェクト全体を安心して任せたい場合に最適です。メリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

  • 圧倒的な品質: プロ仕様のスタジオと機材、経験豊富な音響エンジニアによる収録で、ノイズのないクリアな音質が保証されます。
  • 専門的なディレクション: 企業のブランドイメージやコンテンツの意図を汲み取り、最適な読み方を指示してくれるディレクターの存在は、品質を大きく左右します。
  • ワンストップ対応: ナレーター選定から収録、編集、納品まで一貫して任せられるため、発注側の手間が大幅に削減されます。
  • コンプライアンス面の安心感: 契約や権利関係の処理が明確で、法人取引としての信頼性が高いです。

デメリット

  • コストが高め: 品質と手厚いサポートが価格に反映されるため、他の選択肢に比べて費用は高額になります。
  • 柔軟性に欠ける場合がある: プロセスが確立されている分、急な仕様変更や短納期への対応が難しいことがあります。

②クラウドソーシング:スピードとコストを重視するなら

ランサーズやココナラといったプラットフォームを通じて、フリーランスのナレーターや声優に直接依頼する方法です。メリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

  • コストパフォーマンス: 制作会社などを介さないため、比較的安価に依頼できます。予算が限られている場合に強力な選択肢となります。
  • 多様な声優から選べる: 若手からベテラン、特定のジャンルに特化した声優まで、膨大な数の候補者からイメージに合う人材を探せます。
  • スピーディーな依頼が可能: 早ければ数日で納品されることもあり、急ぎの案件に対応しやすいです。

デメリット

  • 品質にばらつき: ナレーターのスキルや使用機材(宅録環境)によって、品質が大きく左右されます。選定には細心の注意が必要です。
  • コミュニケーションコスト: 読み方の指示や進捗管理など、ディレクション業務を自分で行う必要があり、手間と時間がかかります。
  • 自己管理の必要性: 契約内容の確認や権利処理など、トラブルを避けるための自己防衛が求められます。

③AI音声合成:修正の多さや多言語展開を見据えるなら

近年、急速に品質が向上しているAIによる音声合成サービスを利用する方法です。新しい選択肢として、多くの企業が導入を進めています。メリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

  • 圧倒的な低コストとスピード: テキストを入力すれば、その場ですぐに音声ファイルが生成されます。月額数千円から利用できるサービスも多く、コストを劇的に削減できます。
  • 修正・更新の容易さ: 原稿のテキストを修正するだけで、何度でも即座にナレーションを再生成できます。頻繁な内容更新が想定されるマニュアル動画などに最適です。
  • 多言語展開の容易さ: 多くのサービスが多言語に対応しており、グローバル展開するコンテンツを低コストで制作できます。

デメリット

  • 感情表現の限界: 人間のナレーターが持つ繊細な感情表現や、行間のニュアンスを再現するのはまだ難しいのが現状です。
  • 無機質な印象を与えるリスク: 声のトーンが平坦になりがちで、ブランドの「温かみ」や「情熱」を伝えるようなコンテンツには不向きな場合があります。

あなたのプロジェクトに最適な依頼先の選び方

結局、どの依頼先がベストなのでしょうか。答えは「プロジェクトの目的による」です。以下のチャートを参考に、自社の状況に最適な選択肢を見つけてください。

プロジェクトの目的推奨する依頼先理由
企業のブランド価値を高める広告・PR動画制作会社・ナレーター事務所最高品質の音声とプロの演出で、ブランドイメージを損なうリスクを完全に排除したい。
製品・サービスの機能を紹介する解説動画制作会社 または クラウドソーシング正確な情報伝達が最優先。品質とコストのバランスを見て判断。経験豊富なフリーランスも選択肢に。
社内研修・eラーニング用の教材動画クラウドソーシング または AI音声合成コストを抑えつつ、分かりやすさを重視。内容の更新頻度が高いならAIが有利。
頻繁に更新が必要なWebコンテンツ・ニュースAI音声合成スピードとコスト、更新の容易さが最優先される。
グローバル展開を見据えた多言語コンテンツAI音声合成 または 多言語対応の制作会社複数の言語を低コストかつスピーディーに制作する必要がある。

依頼から納品までの実践的フローと7つのチェックポイント

ナレーション フロー

最適な依頼先が見えてきたら、次は具体的な実行フェーズです。ここで手を抜くと、どんなに良い依頼先を選んでもプロジェクトは成功しません。失敗を避けるための、実践的なフローとチェックポイントをご紹介します。

Step 1: 依頼準備(RFP作成)

「準備が9割」です。依頼前に、以下の点を明確に言語化し、関係者間で合意形成しておきましょう。

  • 目的 (Why): なぜこのナレーションが必要なのか?(例:製品の信頼性を高めるため)
  • ターゲット (Who): 誰に聞かせたいのか?(例:IT部門の決裁者)
  • 伝えたいメッセージ (What): 最も伝えたい核心は何か?
  • 希望するトーン&マナー (How): どんな雰囲気で伝えたいか?(例:信頼感、誠実、未来的、親しみやすい、など)
  • 原稿(台本)作成時の注意点:
    • 専門用語や固有名詞には、必ずふりがなやアクセントの指示を入れる。
    • 強調したい部分や、少し間(ま)を空けてほしい部分を明記しておく。
    • 一度、声に出して読んでみて、不自然な言い回しがないか確認する。

Step 2: 依頼先選定とサンプル確認

依頼先候補をいくつかリストアップしたら、サンプルボイス(ポートフォリオ)の確認に入ります。ここは最も重要な選定プロセスです。

サンプルボイスで確認すべき3つのこと

  1. 声質: イメージするトーン&マナーに合っているか?
  2. 滑舌: 言葉が明瞭で、聞き取りやすいか?
  3. 表現力: 抑揚や間の取り方が自然で、内容を引き立てているか?

単に「良い声」というだけでなく、自社のブランドやプロジェクトの「世界観」にマッチしているかを慎重に判断してください。

Step 3: 契約とオリエンテーション

依頼先が決まったら、必ず書面で契約を締結します。特に以下の項目は、改めて確認しましょう。

  • 最終的な料金と支払い条件
  • 納期と納品形式
  • 修正回数とその範囲(どこまでが無償か)
  • 権利の帰属(著作権はどちらにあるか)と二次利用の可否(プロ声優の場合、競合回避や公開期限が決まっている場合があるので事前確認が必要です。)

契約後、ナレーターやディレクターと打ち合わせ(オリエンテーション)の機会を設け、Step 1でまとめた内容を直接伝えることが、認識のズレを防ぐ鍵です。

Step 4: 収録とディレクション

スタジオ収録に立ち会う場合は、受け身でいるのではなく、積極的に関わりましょう。ディレクターは読み仮名、アクセントの確認などを行い、ナレーターに的確に指示をします。、この時、ディレクターは読み間違えなどないかの確認をしますので、収録に立ち会う場合は、しっかりと確認しましょう。

その場で指摘せず、後になって再収録が必要であることが分かった場合、無償リテイクにならないケースが多いです。それであなたは「最終的な聞き手」として、任せきりにならず、チェックする役割に徹するのがスムーズです。

Step 5: 初稿確認と修正依頼

初稿が納品されたら、すぐに内容を確認します。もし修正を依頼する場合は、感覚的な表現を避け、具体的に指示することが重要です。

  • 悪い例: 「なんだかイメージと違うので、もっと明るくお願いします」
  • 良い例: 「ターゲットは若者なので、もう少し声のトーンを上げて、会話のような親しみやすいテンポでお願いします。特に『新登場』という部分は、期待感を込めて少し強調してください」

Step 6: 最終納品と支払い

修正が完了し、最終的なナレーションが納品されたら、ファイル形式や音質に問題がないかを確認し、支払い処理を進めます。

Step 7: 活用と効果測定

ナレーションは作って終わりではありません。公開した動画の再生維持率やコンバージョン率など、関連するKPIを測定し、ナレーションがビジネス目標にどう貢献したかを評価しましょう。この結果が、次の投資への貴重な判断材料となります。

ナレーション外注の成功事例とよくある失敗談

理論だけでなく、実際の事例から学ぶことで、より深く理解できます。ここでは、よくある成功事例と、誰もが陥りがちな失敗談をご紹介します。

成功事例:こんな活用でビジネスが加速した

Case 1(BtoB): 複雑なITソリューションの解説動画

  • 課題: 新しいクラウドサービスの機能が複雑で、Webサイトのテキストだけでは魅力が伝わりきらず、問い合わせに繋がらなかった。
  • 施策: 信頼感のある落ち着いた男性ナレーターを起用し、専門用語を分かりやすく解説する動画を制作。制作会社に依頼し、プロのディレクションのもとで品質を徹底管理。
  • 成果: 専門的でありながらも明瞭なナレーションにより、視聴者の理解度が向上。動画公開後、サービスの仕組みに関する問い合わせが減り、具体的な導入検討に関するリード獲得率が1.5倍に向上した。

Case 2(BtoC): 新規コスメブランドのイメージ動画

  • 課題: 新ブランドの持つ「自然由来」「透明感」といった世界観を、ターゲットである20代女性に効果的に伝えたい。
  • 施策: クラウドソーシングで、ブランドイメージに合う、優しく澄んだ声質の女性ナレーターを探し、直接依頼。コストを抑えつつも、イメージ通りの人材を起用できた。
  • 成果: ナレーションがブランドの世界観と完璧にマッチし、InstagramやTikTokで公開した動画が大きな反響を呼んだ。コメント欄には「声が心地いい」「世界観が好き」といった声が多数寄せられ、SNSでのエンゲージメントを大幅に高めることに成功した。

失敗談:これを避ければ大丈夫

ありがちな失敗1: 「完成品が、なんだかイメージと違う…」

  • 原因: 依頼時に「お任せします」と言ってしまい、具体的なトーン&マナーの共有を怠った。サンプルボイスの確認も不十分だった。
  • 対策: 依頼前の準備を徹底する。希望するイメージに近い参考動画や音声を提示し、ナレーターやディレクターと完成形のイメージを具体的にすり合わせる。

ありがちな失敗2: 「修正のたびに追加料金が発生し、予算を大幅にオーバー…」

  • 原因: 契約時に修正に関する規定を確認せず、発注者都合の原稿変更を繰り返してしまった。
  • 対策: 契約時に修正の範囲と料金を必ず確認する。原稿は社内で完全にFIXさせてから入稿し、安易な変更は避ける。

ありがちな失敗3: 「宅録ナレーターに依頼したら、納期直前に連絡が取れなくなった…」

  • 原因: クラウドソーシングで、評価や実績の少ない個人に安易に発注してしまった。進捗管理も行っていなかった。
  • 対策: 依頼相手の実績・評価をしっかり確認する。特に重要な案件では、法人格を持つ制作会社や、プラットフォームの補償が手厚いサービスを選ぶ。定期的な進捗確認のコミュニケーションを怠らない。

ナレーションの外注なら「デジタルドロップ」へ

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ここまで、ナレーション外注を成功させるための様々なノウハウをご紹介してきましたが、「結局、ビジネスの成功まで見据えてくれる、信頼できるパートナーはどこだろう?」と感じている方も多いのではないでしょうか。

もし、あなたが単なる作業の外注先ではなく、事業成長というゴールまで共に走る「戦略的パートナー」をお探しなら、ぜひ私たち「デジタルドロップ」にご相談ください。

デジタルドロップは、単にナレーションを制作する会社ではありません。私たちは、動画とマーケティングで事業をグロースさせるプロフェッショナル集団です。

ナレーションは、動画コンテンツという大きな器の一部であり、動画コンテンツは、さらに大きなマーケティング戦略の一部です。私たちは、その声が「誰に」「何を」「どのように」伝え、最終的にどのようなビジネス成果に結びつくべきかを、マーケティングの最上流からお客様と共に考えます。

企画から制作、そして広告運用や効果分析までワンストップで伴走し、お客様のビジネス課題を深く理解した上で、最適なクリエイティブをご提案します。声優・ナレーターの選定はもちろん、ブランドイメージを最大化する動画全体のディレクションまで、すべてお任せください。

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よくある質問(Q&A)

納品されたナレーションの「著作権」はどうなりますか? Webサイト以外に、営業資料やイベントでも自由に使っていいのでしょうか?  

権利関係は最もトラブルになりやすいポイントです。一般的に、制作費とは別に「著作権(財産権)譲渡」や「利用許諾」に関する契約を結びます。

契約時に定めた用途(例:Webサイトでの利用)以外でナレーションを使用する場合(例:テレビCMや展示会での利用)は、「二次利用」となり、別途追加料金が発生することがほとんどです。

「買い切り(著作権譲渡)」で、どんな媒体にも自由に使える契約もありますが、その分費用は高額になります。契約時に利用範囲を明確に伝え、どこまでが料金に含まれるのかを必ず書面で確認することが重要です。

スタジオ収録と「宅録(たくろく)」では、品質に具体的にどんな違いがありますか?  

スタジオ収録は、防音・吸音設備が整った部屋で、高価なマイクと機材を使い、専門の音響エンジニアが録音するため、ノイズが一切ないクリアで高品質な音声が保証されます。

一方、宅録はナレーターの自宅環境で行うため、機材の性能や周囲の環境音(救急車、生活音など)の影響を受ける可能性があり、品質にはばらつきが出ます。

ただし、近年は宅録用の機材も高性能化しており、プロのナレーターは防音対策を施している場合が多いため、社内研修動画やWebの簡単な説明動画などであれば、宅録でも十分な品質を確保できます。重要なブランド広告など、最高の音質が求められる場合はスタジオ収録が推奨されます。

修正(リテイク)をお願いする場合、どこまでが無償で、どこからが有償になるケースが多いですか?  

この線引きは依頼先との契約内容によりますが、一般的な傾向は以下の通りです。

  • 無償リテイクの対象: 依頼先(ナレーター側)に起因するミス。

有償リテイクの対象: 納品後に発注者側の都合で原稿を変更した場合、当初の指示とは異なる新しい表現(例:「もっと元気に」など)を求めた場合など。 契約時に「こちらの都合による修正は1回まで無償」といった取り決めができる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

イメージに合うナレーターが見つかるか不安です。オーディション(コンペ)形式で候補者を選ぶことはできますか? 

はい、可能です。特に制作会社やナレーター事務所に依頼する場合、プロジェクトの概要を伝えて、イメージに合う候補者を複数名リストアップしてもらい、その中から選ぶのが一般的です。さらに重要な案件では、原稿の一部を実際に読んでもらう「ボイスサンプルオーディション」を実施することもできます。

クラウドソーシングでも、コンペ形式で複数のナレーターから提案を募集し、その中から最適な一人を選ぶという依頼方法があります。ただし、オーディションやコンペには別途費用や時間がかかる場合があります。

納品ファイルの形式で「mp3」と「wav」を提示されましたが、どちらを選ぶべきですか?  

これは用途によって使い分けます。

  • wav(ワブ): 高音質・非圧縮のファイル形式です。音質が最も良いため、動画編集のプロに音声素材として渡す場合や、マスター音源として保管するのに適しています。ファイルサイズが非常に大きいのが特徴です。

mp3(エムピースリー):圧縮されたファイル形式で、音質はwavに劣りますが、その分ファイルサイズが軽く、扱いやすいのが特徴です。Webサイトに直接アップロードしたり、メールで送受信したりするのに適しています。 迷ったら、「動画編集の担当者に渡す元データはwav」「Webサイトでそのまま使う場合はmp3」と覚えておくと良いでしょう。

子供の声やシニアの声、特定の方言など、特殊なナレーションを依頼することはできますか?  

はい、ほとんどの専門の依頼先で対応可能です。ナレーター事務所や制作会社には、子役のナレーターや、様々な年代・キャラクターを演じ分けられる声優が多数在籍しています。また、特定の地方の方言(関西弁、博多弁など)をネイティブに話せるナレーターを探すこともできます。

クラウドソーシングでも、プロフィールに「子供の声」「シニア声」「〇〇弁対応可能」などと記載している個人を探すことができます。ただし、特殊なスキルが求められる分、通常のナレーションより費用が割高になる傾向があります。

ナレーション外注まとめ

今回は、ナレーション外注を成功させるための具体的なノウハウを、費用相場から依頼先の選び方、実践的なフローまで網羅的に解説しました。

最後に、重要なポイントを振り返ります。

  • 費用は依頼先で大きく変わる。 まずは「制作会社」「クラウドソーシング」「AI」の3つの選択肢の費用感と特徴を理解し、プロジェクトの目的に合わせて使い分けることが重要。
  • 成功の9割は準備で決まる。 依頼前に「目的」「ターゲット」「トーン&マナー」を明確にし、具体的な指示が出せる状態にしておくことが、イメージのズレを防ぐ最大の鍵。
  • コミュニケーションを惜しまない。 契約内容の確認から、収録時のフィードバック、修正依頼まで、明確かつ丁寧なコミュニケーションが、トラブルを回避し、プロジェクトを円滑に進める。

ナレーションは、単なる「音」ではありません。それは、企業のブランド人格を形成し、顧客との信頼関係を築くための、極めて重要な「戦略的投資」です。

この記事を読み終えたあなたの、次の一歩は何でしょうか。 まずは、ナレーションを加えたいコンテンツの「目的」と「伝えたいイメージ」を、一枚の紙に書き出してみることから始めてみてください。その「設計図」があれば、どの依頼先が最適か、自ずと見えてくるはずです。 

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